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帰りも同じ信号を待つ。
空はもう暗くなっており、太陽は日本での仕事を終えたようだ。
次はヨーロッパで頑張ってほしい。
代わりに三日月が空の舞台を独占していた。
「ふぅ」
青になったと同時に信号が変わり、ペダルを漕ぐ。
「レナ…どうしたんだろ…」
元気にしていると良いが。
普段の彼女が容易く想像出来る故に今回の事態はやはり心が沈む。
「…浜田」
呼ばれた声に振り向くと同級生の姿があった。
「あら…久遠。何か用?」
先程からと言い、今日はコイツとよく話している気がする。
「…レナには会えたか?」
「ううん、家に行ったんだけどね。居なかった」
「…そうか…浜田」
「何よ?」
「…レナ、元気だと良いがな」
久遠はそう言って歩いていく。
「あ…うん、そうね」
この時、私はこの言葉の意味を理解できなかった。
しかしこの後その意味を嫌でも理解することになる。
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