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大切な人の声が聞こえた気がして、アイズは目の前の人物を見る。
黒くて柔らかい髪。母によく似た顔立ち。
閉じられた瞳は哀しげに涙をこぼし、頬に触れた手は力なく落ちている。
ここにいるのは何よりも愛しい人。
……この手にかけた。
「うわあぁぁぁぁぁあ!!!!」
狂ったように叫んだ。
認めたくなかった。
この人を永遠に失ったなんて。
嫌だ。
いなくならないで。
独りは嫌だ。
「マリア……っ!」
独りになるくらいなら。
愛する者を失うくらいなら。
全部終わりにしよう……。
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