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「前に亡くなった連絡誘拐犯あなたのお子さんですね。つまりこの子は彼の弟だ。そして、本当は警察も来ない。来たら困るのは貴方も同じ筈だ。過去の虐待がバレテしまいますからね。恐らく彼の事が報道されてもし家まで来られたら困る貴方は、この子の虐待を止めた」
そして、屈み視線を子供に移し続ける。
「僕、お巡りさんに教えてほしい事があるんだ。…………お母さんにぶたれたりした事あるかい?」
すると、急遽母親が
「そんな事してないわよね?」
と微笑みかける。それに反応してか子供は
「ごめんなさい御免なさい。良い子にしてるから打たないで」
と怯え始める。それを見た刑事は気持ちの問題でなく急に子供を抱き締めながら泣きだし言う。
「平気だから。もう怖くない。お巡りさんが守るから」
それを聞いた母親は
「ちょっ!何言って。私は何も…………」
と慌てた様に言い始める。
「いい加減にしろ!子供の人の命を何だと思ってるんだ!」
と怒鳴る刑事。平静さを取り戻したのか子供は刑事に向かって
「じゃあ、お兄ちゃんも。ずっと居ないけど、お兄ちゃんも打たれていっぱい怪我してるの」
と頼み始める。それを聞くやいなや再び子供を抱き締めながら
「ゴメンな。もう、怖くないから。もう、平気だから」
と何度も繰り返す。
それから数十分経ったくらいの頃、呆然としている母親に対して
「私は貴方を訴えます。今回の一件、職権濫用や不法侵入に問われて解雇処分は免れないでしょう。だけど、私はそれでも構わない」
(彼は命まで賭したんだ…………もう、決めたんだ)
この時、刑事は母親を訴える以外にとある覚悟を決めていた
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