深海線路

3/5

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
しばらく彼女と話しながら歩いた。暗い線路を、深く深く、奥底へと。 「私はここまでです」 彼女は不意に言った。 「どうして、そんな、まだ線路は続いていますよ」 私は必死だった。彼女とのたくさんの思い出が、 私をせきたてた。 「何か、そう、贈り物でも。あなたの作ってくれた線路のお礼に」 振り向いた時にはもう彼女の姿は消えていた。魚やクラゲ、生き物達が逆行してゆく。まだ線路は終わらない。 「なんて無責任な!」 私は思わず、その海の奥の闇に叫んだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加