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しばらく彼女と話しながら歩いた。暗い線路を、深く深く、奥底へと。
「私はここまでです」
彼女は不意に言った。
「どうして、そんな、まだ線路は続いていますよ」
私は必死だった。彼女とのたくさんの思い出が、 私をせきたてた。
「何か、そう、贈り物でも。あなたの作ってくれた線路のお礼に」
振り向いた時にはもう彼女の姿は消えていた。魚やクラゲ、生き物達が逆行してゆく。まだ線路は終わらない。
「なんて無責任な!」
私は思わず、その海の奥の闇に叫んだ。
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