チンパンジー

薬は試験管に入れていた。私は素早く試験管を床で割り、鋭利になったガラスで、母に反撃した。思い切り腕を振った。ガラスは、何と幸運なことか、母の柔らかな眼球に突き刺さった。

力を込めた。そのせいか、母は悲鳴もあげずに体仰け反らせ、目をおさえ丸くなった。ビクビクと体を震わせていたので、私はトドメに椅子で母の頭をぐちゃぐちゃになるまで叩き割った。
何故こんな悪魔の如き所業が出来たか。薬は成功だったのだ。母親はチンパンジーになっていた。