第1話

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「こ…ここで飲んでっても良い?」 少し声を震わせて聞いて来る。 「駄目」 俺はまたパソコンの前に座り、桐生を見て言った。 「…そっか」 桐生の目が俺の黒髪を見て、それから授業や仕事をする時にかける眼鏡を見る。 そして目線は俺の顔全体を見た。 その桐生の表情から、今何を考えてるのか容易に想像がつく。 “どんなに女子生徒にキャーキャー言われても、しれっと表情1つ変えない。 私なんかその、キャーキャー言う女子生徒の1人にしか思われてないんだろうな。3年間も思ってるのは私ぐらいなのに…。” って所だろう。 ったく…お前は何を言われても笑っている所が長所なんだろうが。 「お前がいると煙草吸えねぇからな」 俺らしくもない、フォローの言葉。本人はフォローされたなんて気付かないんだろうけど。  
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