第1話

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「先生!質問でっす」 数学の授業中、勢い良く手を挙げたこの生徒。 名前は桐生(きりゅう)りな。俺を悩ませている張本人だ。 「ここテスト出るからな」 俺は桐生の発言と、ピンと伸びた彼女の手をさらりと無視をして授業を続ける。 「あははっ。また無視されてるよ!りなの奴」 桐生から少し離れた席に座っている、桐生の友人の大村瞳子(おおむらとうこ)と、高城瑠美(たかぎるみ)の笑い声が聞こてくえる。 全くコイツらは… 俺が注意しようとした時、 キーンコーンカーンコーン と授業の終わりを告げる鐘が鳴った。 「じゃあ今日はここまで。あ、それから今日抜き打ちでノートチェックするから提出するように」 俺の抜き打ち検査発言に生徒は一斉に不満を口にした。でも……目を輝かせて笑う生徒が約1名。 「数学係の桐生。気持ち悪く笑ってないで、これ数学室に持ってこいよ」 俺の悩みの種は、こともあろうに数学係なのだ。 桐生は「はぁい」と、目をハートにして返事をする。    
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