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2年前――。
『今日からこの学校でお世話になる、魁皇昴です。よろしく』
入学式の時、体育館でそう挨拶した俺を見て、好きになったらしい。
その日から毎日好き好き攻撃が始まった。
助かったのは、桐生が1年の時俺はアイツのクラスの担当じゃなかった事。
なのにアイツときたら、毎日毎日ひたすら俺に話し掛けて来た。
つい俺もアイツの顔を見れば「桐生…」とため息まじりに名前を呼んでしまう程。今思えばそれは、俺に顔と名前を覚えさせるための作戦だったのかもしれない。
そして桐生が2年になると、俺は桐生のクラスを担当する事になった。
更には桐生が3年になっても…。
桐生はこの2年間、数学係として他の生徒よりも俺の側にいる。
俺は数学係を、数学で100点をとった事がある生徒にしかやらせない。仕事を投げだされると困るという理由からだ。
数学係をやっぱり希望して来た桐生にその条件を突き付けると、桐生はニンマリと笑った。
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