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直後のテストで、桐生は満点をとったのだ。
桐生曰く、1年の時から数学を猛勉強したんだとか。俺に言われる前から条件を知ってたらしい。
「ハァ…」
後ろで桐生がため息をつく。
俺もまさに今、心でため息をついてた所だ。
「じゃ、先生。私帰るね」
「桐生。お疲れさん」
パソコンを見たまま桐生にそう言った俺。
何か後ろからハートが乱舞してる気がする…このドアホ。
ペチャ
「ひゃあっ!?」
立ちあがり、振り向くと予想通りボーッとしていた桐生。だから桐生の頬に、冷たいコレをぺちゃっと付けてやった。
桐生は頬を摩りながら俺を見る。
「ご褒美」
桐生の目は、俺から俺の手にある紙パックの苺ミルクジュースにうつった。
「えっ…」
「いらねぇのか?」
俺はジュースをプラプラと桐生の顔の前で揺らす。
「いるっ!!」
犬が餌をバクッと食べるように、桐生はガシッとジュースを掴んだ。
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