《013》

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「そもそも、エーテルというのはなんなのじゃ?」  フェリシアの問いに、カルファーは眉間にしわを寄せる。 「それは、だれも正確には分からないんだ」 「分からない?」 「そう。エーテルはどこから発生して、それがなになのか……だれも分からないんだ」  発生する、といういい方が正しいかもそれさえも分からない。空気がどこからやってくるのか、という問いに近いものがある。空気と同じように当たり前に存在している。  それゆえに、エーテルが減少する、ということは不可解な現象なのだ。 「ラルフィーナさまも、このエーテルの減少現象をずっと調べていらっしゃる。そして、国の魔法使いたちも調べているんだろう? 北の国境近くの山のふもとにあるエーテル研究所では、それを調査しているんだろう?」  カルファーの問いに、フェリシアは素直に返事をしてよいのか、悩む。  確かに、北の国境近くにエーテル研究所、なるものがある。  しかし、それは一応のところ、国家機密にかかわるもの、らしい。  フェリシアはただ、暇にかまけて王宮の中の魔法に関する書物を読みあさっていたわけではない。  父王の一言でなくなった話ではあるが、そのエーテル研究所の名誉職員としてフェリシアを招致する、という話も出ていたのだ。そのためには魔法の知識がなくてはならない、と思い、必死になって王宮の魔法に関する書物を読みあさっていた、のだ。
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