《弐》

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学校に着き、俺は自分のクラスに入ると後ろからいきなら首をしめられた。 「おっはよ~!龍ちゃん!!」 「悠斗ッ、テメッ、苦…しいんだよッッ!」 「なんだよ~、冷たいなぁ。約1ヶ月の夏休みの間、俺に会えなくて寂しかっただろ~?」 俺の親友でもある悠斗は、冗談なのか本気で言っているのか読みとれない顔で言った。 こいつは高校に入学して初めてできた友達で、一緒にいると落ち着く。しかし、いまだに行動が読めず、考えていることがわからない。理解不可能な人間だ。 「バ~カ。俺を含めてこのクラス全員、お前に会えて喜んでいるヤツはいねーよ。」 「あら、そんなのわからないじゃない。喜んでいる人、いるかもよ?悠斗君、女子に結構人気あるし。」 そう言いながら話に入ってきたのは、俺の幼なじみの千嘉。こいつとは幼稚園の頃からずっと同じ学校。まぁ、いわば腐れ縁だ。 「何言ってんだよ、千嘉。そんな事言ってたらコイツ、調子に乗るぞ。」 俺は悠斗に聞こえないように千嘉に小声で言った。 「まだその方がいいわよ。ただでさえ行動が読めないのに、怒らせたら何しだすかわからないでしょ。」 彼女が言う事はもっともである。俺は確かに。と頷いた。 悠斗はそんな俺達の密会も気にしていないようで、自分の事を誉めてくれた千嘉に向かって行く。 「やっぱり、俺の事を理解してくれるのは千嘉ちゃんだけだよ~ッ!」
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