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結局俺が少女を非難所に送り届けることになった。非難所はここからそれほど遠くはなかったため徒歩で行くことになった。
少女は俺の足にぴったりとくっついて離れないため歩きづらかったが中々離れないためそのまま放置した。それからは質問攻めの形となった。
「なぁ…」
ついに質問攻めされるにも疲れたため、俺から質問しようと軽い気持ちで俺から話し掛けた。少女は「ん?なになに!?」と喧しく嬉しそうに聞いてきた。
「いや…親…パパとママは今何処にいるのかわかるか?」
するとさっきまで喧しかった少女は急に黙りこくってしまった。
しまった…こんな状況で聞くべきではなかった。
俺は自分の空気の読めなさに呆れ掛けた。
「お前――」
「死んじゃった…」
俺が話題を変えるために発した第一声と少女からでた冷徹な単語が被った。いや…冷徹な単語のほうが明らかに勝っていた。
やってしまった…
俺はほとほと後悔した。
俺は何も声に出せなかった。ここで無理矢理話題を変えてしまえばよかったがそんなことを思いつかなかった。余裕がなかった…。
「パパとママはね…爆弾で死んだの…」
少女はその残忍な物語を話し始めた。
その顔はさっきまでキャッキャッと喧しく騒いでいた少女の顔とは思えないほど暗く…冷たいものだった。
「その日もね…今日みたいないい天気だったんだ」
「…………」
「それで私…井戸までお水汲みに行ってたの」
「その時だった…あっちの方から飛行機が飛んできたの…」
そういうと少女は今迎う非難所の方を指差した。
その瞬間俺は理解した。
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