プロローグ

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「ニャァ---」 男の子より小さい猫が嬉しそうに鳴いた 「その子私にちょうだい」 「いいよ。僕んちじゃ飼えないから」 「ニャァ---」 男の子は私に猫を渡すとすぐに帰っていった 「行こ。ほのか」 「うん」 私たちは家と急いだ 私はまだ死というものを知らなかった 去年、遠方のおばあちゃんが死んだ あまり逢うことがなかった おばあちゃん 悲しくなかったと言えば嘘になるが、涙は出なかった なんとなく、また逢えると思ったし 逢えなくても大丈夫な気がした 人が死ぬと云うことを、幼い私はまだ理解していなかった
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