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数人のスタッフが見守る中、舞台であるキングサイズのベッドの上では裸の男が2人、直視できないような絡みを披露している。
男特有の体臭と体液の匂いがベッドから一番遠い、この思い鉄の扉付近まで香っていた。
「う」
思わず発した俺の呻きに反応し、近くに待機していたスタッフの男が「しっ!」……と人差し指を自分の口元に当てた。
どうやら現場はまさにクライマックスを迎えようとしているらしい。
それでもここに呼び出された手前立ち去るわけにもいかず、俺は所在なしに立ちんぼを決め込んだ。
もちろんベッドの方からは目を逸らしたまま、だ。
男のくぐもった声がしばらく続き、「カット!OK!」と監督が大声を張り上げるまで俺は耐えるしかなかった。
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