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「へ?、あ、えーと、その……」
どう答えていいものか口ごもると、彼女は俺の返答など気にしていないように
「あ、ここが事務所よ。さぁ入って」
……と、ステンレス製の簡素なドアを開いた。
事務所の中は想像通りの部屋だった。
狭苦しい室内には事務机や書類棚が所せましと並べられ、机の上には備品と思しき様々な物が段ボール入りで置かれたり、飛び出していたり……。
だいたいこの建物自体も相当古く、黄ばんだ壁には所々亀裂が入っていたりいなかったりだ。
「こっちこっち」
入口で再び立ち尽くしていた俺に、内海さんは小さな応接セット、らしきソファとテーブルの場所まで手招きをした。
安っぽい茶色のソファに腰を降ろすと、お茶が出された。
お~いお茶、の紙パック。
「どうしよう、って顔してるわね」
心情を見透かされて、俺は乾いた笑いを返した。
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