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「悠ってね…
昔は野球やっててすっごく上手くて…
甲子園でピッチャーやってたぐらいね
それにあの容姿でしょ??
うちの学校にもファンクラブがあるくらい女の子にモテて…」
「そうなんですか??
全然そんな風に見えない…」
「そうかもね…
今は別人みたいだった…」
「別人…ですか??」
「うん…
昔はもっと柔らかい優しい笑顔で
いつもニコニコしてる人だった」
「想像できない」
「フフッ
まぁ…あんな事あったら誰でも笑えないかも…」
「あんな事って??」
聞いてはいけない様な気もしたけど
気になって聞いてしまった
「ハルちゃんになら話ても大丈夫かな…
1年前悠と私付き合ってたの」
「そうなんですかぁ!?」
悠って意外に面食いなんだなぁ
「でも…
悠がホントに好きだったのは私の姉だったの
あたし悠と付き合えた事に舞い上がっちゃって気づかなかった…」
「まゆさんのお姉さんが好きなのにどうしてまゆさんと付き合ったんですか??」
「あやちゃんを陽くんから守るために私をカモフラージュにしたの」
「先輩から??どうして??」
「陽くんは悠くんが好きになった子を片っ端からヤリ捨てしてたからよ」
「先輩が!?信じられない…」
「陽くん外面はいいから…
でも付き合って半年目にふられたわ
全てを打ち明けられて…
俺はやっぱりあやちゃんが好きだって…
でも心の準備はできてたからそんなに傷つかなかった
だから
あやちゃん泣かすなよ
って言ってやったの
そしたらアイツなんて言ったと思う??」
「なんて言ったんですか??」
「ごめん、明日は泣かすかも…嬉し泣きでね
って言ったのよ」
「くっさー
鳥肌ものですね」
「そうね
でも泣いたのはあたし達の方だった…」
「えっ!?」
「亡くなったのよ…
悠との待ち合わせ場所に行く途中交通事故で…
即死だったって…」
「亡くなったんですか!?」
「えぇ…
それから悠くん引きこもる様になって
野球も辞めたって聞いたわ…
だから久しぶりに家を訪ねたら引っ越してるし
陽くんに会いにきてみたの」
「そうだったんですか…」
悠にそんな過去があったなんて…
だから昨日女なんか興味ないって言ってたのかな…
「でも悠…まだあやちゃんの事ひきずってるみたいね…」
「そうみたいですね」
いつのまにか
サッカー部は朝練を終えていた
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