†第一章†

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「要(かなめ)!おっはよ!!」 安眠を貪っていた俺は、どすんという音と共に身体に強い衝撃を感じて飛び起きた。 「兄貴!退いてよ」 こんな変な起こし方をしてくるのは、兄の彼方(かなた)以外に考えられない。 俺は上にのしかかっている兄貴を押し退けた。 「酷いな。俺はただ要を起こしにきただけなのに」 兄貴は端整な顔に、憂いの表情を浮かべる。 そこいらの女の子なら、兄貴の顔に騙されるんだろうが、生まれた時から一緒にいる俺には効かない。
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