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最近、学校が終わるのが楽しみだ。放課後になるのをソワソワしながら待っている。大好きな部活も、何となく身が入らない。
「えー、そぉなんですか?」
放課後、部活終了後。暗くなってきた学校の校門を先輩たちと笑いながら抜ける。
「ゆず」
突然、横手から声がかかった。
「あ、ウルっ」
唐科護一(カラシナユズイ)は校門の横に佇む人影に手を振った。
「どしたの?ウルが学校まで来るなんて」
「ああそれは…」
「ねぇ、誰その子?」
「護一ちゃんの彼氏~?」
「かわいい彼氏じゃん」
ヘラリと笑って木下一樹(校内随一のもて男と評判の先輩)が護一の肩に手を置いた。それをやんわりと押し返した護一は潤をチラリと見た。
(あらら~)
護一は頭をかいた。潤…松森潤(マツモリウル)は自分が話しているときに関係ない人に突っ込まれるのが嫌いだ。その性格をよく理解している護一は、このあとの大変さも非常によく理解していた。
「ウル、この人たちがこの前はなした先輩たちだよ」
「ふぅん」
潤は素っ気ない返事をした。先輩……とくに一樹先輩を値踏みするように見ている。
「先輩、彼は私のとも…」
「護一の彼氏の松森潤です」
潤は、彼氏のところに力をこめて言った。グイッと護一の腰を寄せる。
「お先に失礼します、先輩」
そう言って、そのまますたすたと歩き出した。
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