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──"クスクス…ならば、この私(ワタクシ)が貴方様を女になる方法を教えてあげましょうか?"─
「!?…誰だ!!」
シグナルは声がした方向に振り向くと、小柄な少年がドアに寄りかかっていた。
「初めまして、シグナル様。私の名は、ルメリオ・アジラス。そんなに警戒しなくても宜しいですよ?私は貴方様を女になる方法を教えに来たのですから」
「!?本当に女になれる方法があるの!!?」
「えぇ、勿論です。ただし、本当の女になれるには“もっとも愛する者を心奥深くから愛している女の魂”が必要です」
「それはどう言う意味…?」
「まぁ、遠回しに"殺す"の意味でしょうか。魂が必要ですからねぇ…?」
「―なっ?!僕に人殺しをしろと言うのか!!?」
相手は笑顔を張り付けながら「そうするしか無いですねぇ」と答える。
シグナルは「そんな…」と呟きながら顔を俯く。
そして顔を俯いていたシグナルは、スッと顔を上げる。
だけどその顔は、冷たい無表情になっていた。
「ルメリオ」
「何でしょうか?」
いきなり顔を変えたシグナルに、ルメリオは密かに口元を歪める。
「僕はあの人の為ならなんだってする」
「なら、準備は良いんですね?」
「……」
シグナルは無言で頷くと、ルメリオは「私に着いて来て下さいね」と答えるとシグナルに背を向ける。
その時のルメリオの顔は、酷く歪んだ微笑みをしていた事をシグナルは知るよしも無かった。
――此れは、物凄く楽しめそうですね。呉々も、私を退屈させ無いで下さいね?シグナル、"様"?…―
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