32人が本棚に入れています
本棚に追加
アイツは死ぬまで女だった。
女の身体で産まれて、女性器を使って捨てられるまで。
母と呼ばれることのないまま。
可哀想なあの女の娘。
それが私の名前だった。
気狂い女の娘―
尻軽女の娘―
ババアの娘―
いつだってそう。
私の名前に意味はない。
ただの符号と同じ。
その名前を捨てる為ならなんだって出来た。
アイツが客に殺された後、自分を自分の手で殺した。
気狂い女の娘は、海の藻屑と消えこの世に存在しない。
最初のコメントを投稿しよう!