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「まあ、桜夜ちゃんっ」
東光(ハルミ)に半ば以上無理矢理つれてこられた凪海家のリビングで桜夜(サクヤ)は金髪紫瞳の美人と向かい合っていた。
「ご無沙汰、しておりました。ユーナ叔母さん」
桜夜が言うと、金髪美人……凪海ユリシアはにっこりと笑った。
「ホントに久し振りね」
「はぁ…」
底抜けに明るいこの叔母の気質はきっと家系だ。そう思いながら、桜夜はユリシアと彼女の夫であり、桜夜の叔父でもある凪海敏郎(ナギミトシロウ)と東光の顔を順繰りにみた。
ちなみに、敏郎は日本人である。ユリシアはハーフだから、東光と日織はクウォータになる。
東光は金髪黒瞳、日織は黒髪碧眼だった。日織の目は彼の祖母からの隔世遺伝だ。
「母さん」
東光がユリシアに声をかけた。
「とりあえず、桜夜の治療をして風呂に入れてあげて?」
「ああ、そうね。桜夜ちゃん、ちょっと待っててね」
そう言いおいて、ユリシアはキッチンの方に消える。
「父さん、俺たちは外にでません?」
「そうだな」
敏郎がソファーから腰を上げた。
「東光兄さん、私は…」
「ちゃんと治療を受けろ」
桜夜の言葉を遮って東光は言った。そして、敏郎を伴ってリビングを出て行った。
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