Peace Ⅵ

2/2
前へ
/24ページ
次へ
「まあ、桜夜ちゃんっ」 東光(ハルミ)に半ば以上無理矢理つれてこられた凪海家のリビングで桜夜(サクヤ)は金髪紫瞳の美人と向かい合っていた。 「ご無沙汰、しておりました。ユーナ叔母さん」 桜夜が言うと、金髪美人……凪海ユリシアはにっこりと笑った。 「ホントに久し振りね」 「はぁ…」 底抜けに明るいこの叔母の気質はきっと家系だ。そう思いながら、桜夜はユリシアと彼女の夫であり、桜夜の叔父でもある凪海敏郎(ナギミトシロウ)と東光の顔を順繰りにみた。 ちなみに、敏郎は日本人である。ユリシアはハーフだから、東光と日織はクウォータになる。 東光は金髪黒瞳、日織は黒髪碧眼だった。日織の目は彼の祖母からの隔世遺伝だ。 「母さん」 東光がユリシアに声をかけた。 「とりあえず、桜夜の治療をして風呂に入れてあげて?」 「ああ、そうね。桜夜ちゃん、ちょっと待っててね」 そう言いおいて、ユリシアはキッチンの方に消える。 「父さん、俺たちは外にでません?」 「そうだな」 敏郎がソファーから腰を上げた。 「東光兄さん、私は…」 「ちゃんと治療を受けろ」 桜夜の言葉を遮って東光は言った。そして、敏郎を伴ってリビングを出て行った。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加