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「ん~」
桜夜(サクヤ)はパキパキと音をさせながら広い湯船の中で体を伸ばしていた。
(なんか、妙なことになっちゃったなぁ…)
桜夜にしてみれば、ただ日織(ヒオリ)に会いに来ただけだったのに、傷の手当てだけでなく風呂にまで入れてもらった。
(ここで暮らせるように、頼んでみようかなぁ)
ふと浮かんできたその考えを、桜夜は頭を振って追い払った。
(ダメだ、そんなこと。日織やこの家の人に迷惑になる)
桜夜は自分の父親を思い浮かべた。
(あの男は、絶対に私を許さない。だから、海外に行くんだ。誰も知り合いがいなければ、あの男も追ってはこないはず)
「よし!」
桜夜は自分の頬を叩いて気合いを入れると、湯船から立ち上がった。
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