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(あった…!)
鏡峰(カガミネ)駅から歩いて約30分。その家は、幼い頃の記憶そのままに佇んでいた。変わっているのは季節ぐらいだ。
皐桜夜(イツキサクヤ)はその家の門の前に立ち、ふっと息をついた。
疲れた。そう思った。思いつきでここまできたけれど、日織に会って何をするのかとか、そんなことは何も決めていなかった。
(帰ろう…)
桜夜は門の前で拳を握りしめた。くるりと振り返る。
目の前に大きな影を認めた桜夜はあげかけた悲鳴を寸前で止めた。
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