137人が本棚に入れています
本棚に追加
仁は月光島から、こちらに向かってくるフェリーを眺めていた。
潮風が心地よいが、もやもやした気分は全く晴れなかった。
「・・・なぁ、アレクシア。」
仁はゆっくりと口を開いた。
「なぁに?」
アレクシアがすぐ後ろに現れる。
「鳳家の人たちを殺したのもお前かよ?」
仁の口調はいたって冷静だった。
アレクシアは紫の扇で自分を扇いでいた。
爪をちらちら見たり、髪の毛をいじったりと、どこにでもいる普通の女の子に見えてしまう。
仁の質問に少し間を開けアレクシアは答えた。
「・・・そうよ。」
「くっ・・・。なんでだよ。」
仁は努めて冷静に振る舞った。
あまり感情的になりすぎるとアレクシアのペースに飲み込まれてしまいそうだったからだ。
「なんでって、復讐よ。簡単でしょ?私を封印するんだもの。そのお返し。ついでに完全に封印を解くための儀式もさせてもらったわ。」
さも当たり前のようにアレクシアは言った。
最初のコメントを投稿しよう!