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これがまた仁の疲労を増す原因にもなりかねない。
「あまりはしゃぐな。他人に迷惑をかける。」
仁の声には一応怒気が混じってはいなかったが、実際苛々している。
兄弟に対しては冷たくなるあの感じだ。
・・・そんなことないだろうか?
「えぇ~!いいじゃん!!バカ兄!!」
ぶすっとした顔で睨んでくる視線をあっさりと回避しながら仁は言った。
「だめだ。そもそも俺たちは遊びに来たんじゃないんだ。文句を言うな。」
このあと何度か彩乃が文句を言ったがすべてぴしゃりと冷静に跳ね返した。
兄として成長した気がする瞬間だ。
「また兄弟喧嘩?神谷兄弟はほんとによく喧嘩するわね~。」
沙希だ。
風になびく黒くてまっすぐに伸びた癖のないロングヘアーは見とれてしまうものがある。
知能明晰、容姿端麗。
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