月光館、再び

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「お、面白い・・・?ある意味命がけだぞ・・・。」 仁は苦笑いのまま言った。 「ふふ、そうですね。」 本を両手で持ちながら女子生徒は笑った。 彼女は桜井愛美。 皇城高校の一年生。 仁達の後輩に当たる、オカルト研究部の一員である。 「さて、全員降りてきたし、月光館へ行きましょうか。」 沖先生がそう促す。 「こっから見えないからなぁ。だいぶ歩かされそうだぜ・・・。」 静馬がぼやいた。 仁も似たような気持だった。 「男がうだうだ言わない。ほら、歩いた歩いた。」 沙希は恐ろしい。 生徒会長の権力というのだろうか、なんだか逆らえない。 「はは、尻に敷かれてるねぇ~。」 冬摩が面白がって言う。 「うるさい。お前もさっさと歩くんだよ。」 八つ当たりみたいだ。 「はいはい、すみません。」 冬摩はなおも面白がっている。
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