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あまりいい気分でないまま仁と静馬は歩きだした。
「やれやれ。ここまでは前回のシナリオと同じだな。」
仁が歩きだしたオカ研メンバーを見送りながら言う。
「こんなところ、変える必要ないでしょう?」
アレクシアが呆けた声で言った。
確かに、宴を始めるのに冒頭の部分を一々変える必要はないだろう。
「あぁそうかよ。」
仁はアレクシアに感じている憤りを隠せないでいた。
「ふふ、いいわよ~。私を憎めば憎むほど、この宴は私にとって有利なものとなるわ。ドンドン憎んで早く降参しちゃいなさい。」
アレクシアは高笑いをする。
「しかし、この勝負というのも仁さまにいささか不利ですねぇ。」
マルバスが突然喋るので仁は少し驚いた。
「お、俺に不利だって?」
何が一体不利だというのだろうか・・・。
「ええ、不利です。精神的なダメージを与えるとしたら、明らかに仁様の方が多大なダメージを受けることでしょう。それに代わり、お嬢は屈服するのを見て待ち続けるだけ。お嬢はこう見えても待つのには慣れていますので。時と場合によりますが。」
ということはあれか。
何をどうあがこうがあまり俺には勝利の女神はほほ笑んでくれないってことか。
そう仁は考えた。
勝つ方法は・・・。
くそっ、ないじゃねぇか!!
仁の顔に焦りの色が浮かぶ。
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