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「「勝負…っ!!」」
ぐぅ~~~~
緊張した空気のなかに気の抜けた音が響いた。
「…は?」
「ー――…っ!!!」
神楽は急いで自分のお腹を押さえた。総悟はその音の正体に気付くと呆れたように尋ねた。
「お前…朝飯食ってねーの?」
「…食べたアル」
二人の間に重い沈黙が流れた。
総悟はぽりぽりと頬をかく。
「まあ…その、あれだ…甘味屋でも「総悟ォォォ!!!」」
神楽と総悟が声のした方に振り向くと、土方が鬼の形相でこちらへと走って来た。
「おっ前…また性懲りもなくサボってやがったな!!良い加減にしやがれコノヤローっ!!!」
総悟は五月蝿い奴が来たとばかりにあからさまに顔をしかめる。神楽は怒鳴りつける土方の隊服の裾を引っ張る。
「ああ゙!?今総悟に…「マヨラー…、私…お腹空いたヨ。善良市民を助けるヨロシ」
土方は勢い良く振り向いたせいか、神楽の顔が目の前にある。
か…っ、顔が近けェっ
「わ…分かった。ホラ、これやるから、何か買ってこいっ!!」
そう言って土方は神楽にお金を渡すと神楽の顔はぱあっと明るくなった。
「まじでカ!?やっぱニコチンは良い奴アル。ありがとネ!!」
神楽は笑みを浮かべ手を振り、走って行った。
「…土方さん、顔…赤いですぜ?」
「ば…っ、これはおめェ走ってきたからに決まってるだろ!!」
土方は片手で顔を隠すように覆った。
「ふーん…、そうでしたか。俺はてっきり土方さんはロリコンなのかと…」
「んな訳あるかっ!!アレはどう見ても仕方なくだろ!!ったく、早く行くぞ…っ」
土方はそう言うと早足で歩きだす。総悟はその後に着いて行く。
なんか…気に喰わねェのは
いつものことだが…
今日はいつも以上に
気に喰わねェ…
「…死ね土方」
土方はぴたりと止まり、青筋を浮かべて総悟を睨み付ける。総悟はふい、と顔を背け土方を追い越し歩いて行く。
なんだよ、アイツ…
変な奴だな…
土方は眉を潜めて総悟を見た。
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