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「ふふ~ん♪ふ~ん♪ん…?」
神楽は口に酢昆布をくわえ、陽気に鼻唄を口ずさみながら歩いていると、目の前に見慣れた銀髪が見えた。
「銀ちゃんっ!!」
神楽が大きな声で叫ぶと銀時は振り返り、神楽が抱えている酢昆布に目をやった。
「おまっ…、それどうした?知らない人にモノ貰っちゃいけないって、いつも言ってるでしょーが!!」
銀時はつかつかと神楽の方に近づき、呆れたように言った。
「…知らない奴じゃないアル。マヨラーに奢って貰ったネ!!」
神楽はにこっと嬉しそうに笑った。そんな神楽を見て、銀時は深い溜め息をついた。
分かってねーよなあ…
絶対分かってねーよ…
銀時は頭を抱えて、軽く左右に振った。
「おや、旦那とチャイナじゃねーですかィ」
総悟は片手を挙げながら、二人に近づいて来た。その隣にはもちろん土方も居る。
「んだヨー。今更返せって言っても酢昆布は返さねーからナ!!」
神楽は酢昆布を大事そうに抱えて、警戒している。
「…やあ、多串くん。総一郎くんも。あのさあ、うちの子に餌付けするの止めてくんない?あれ、もしかして自分だけ好感度あげようとしちゃってる?そんな訳ないよね~。鬼の副長さんだもんね~。」
銀時はじと目で土方を見据え、土方の額には青筋が何本も浮かんでいる。
「んな訳ねェだろっ!!お前こそ、その餓鬼どうにかしろよ!!いつもいつも会う度に催促してきやがって「…迷惑…だったアルカ…」」
神楽は俯き、小さい声で呟やいた。
「いや、違う…その「迷惑だっつーんなら断れば良い話じゃねェかコノヤロー!!」」
買い言葉に売り言葉で言ってしまった言葉だった土方だったが、弁解する余地もなく、銀時が喰ってかかった。
「…チャイナ」
総悟は静かに声をかけ、神楽の手を取って歩きだした。
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