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彼女と出会ったのは3ヶ月前。
友達の紹介。
気付けばこの3ヶ月、僕は彼女のことで頭がイッパイだった。
小柄で、目が大きくて、守ってあげたい。
そんな彼女のこと。
好きになっていた。
「はい?」
眉間にシワを寄せて僕を見るのは高校からの友達の千衣子。
男みたいな性格で、何でか他のダチより友達。
県外に転勤になってからもこうして足を伸ばして一緒に飲んだりしている唯一の…親友?みたいな存在。
「加那ちゃんじゃないっけ。この前、飲んでる時に会ったの。」
「加那ちゃんじゃなくないけど。……。はい?」
「何だよ。」
「何だよじゃないよ。なんつった?加那ちゃんが好きかもしれない?マジで言ってんの?一回しか会ってないのに?」
「一目惚れ…とか?」
「はっ。マジで?」
「多分ね。なんつーか、ずっと加那ちゃんのこと頭にあるし。気になってるっつーか…そんな感じ?」
「うわぁ…。」
千衣子は呆れながら頭をかかえる。
「多分だけどね。」
「多分じゃないよ。マジじゃんそれ。一目惚れとか有り得ないわー…。」
「多分だよ。色恋沙汰久し振りすぎてイマイチ感覚掴めないし。」
「そうだ、久し振りだわそういう話。アンタって女の子好きになれんだね。ビックリー。」
「そりゃな。」
「はー、久し振り。そっか。だから今更なんだ。3ヶ月もたってから…会ったときにメアドくらい交換しておけば良かったのに。奥手か。」
「…まぁ。確かに。」
「ゆっくりしてるとさぁ、加那ちゃんまだ23何だよ?私たちより4つも下。あの時彼氏居なくても今は居るかもよ~?」
「あー…、仕方ない話だよね。」
「奥手!つーか根暗!」
「あ。オクラ?」
「くだらない。もー…何もしないで独りで想い育んでた訳だ。この独り上手め。」
「どーも。」
「誉めてないっつの。どうしたいの。メアド教えてあげる?」
「いやー…別に。」
「はい?」
「別に。チイに聞いて貰っただけで満足っつーか…。なるようになるしかないし。特別頑張る気は無いな。」
「アホか。特別頑張らなきゃなんとかなるもんもなるようにしかならんよ。」
「んー…。」
「…はぁ…。なんなのこの人。」
千衣子は呆れながら携帯を出す。
「何すんの?」
「オクラのために加那ちゃん呼び出してあげる。自分でなるようにすればいいんじゃない?」
「え。俺なにも出来ないよ?」
「あ。加那ちゃん?お疲れ~。」
千衣子は携帯と喋り出す。
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