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翌朝。
昨晩の沙羽の必死の介抱も虚しく、男は消え、いつもの自分の寝室に一人、取り残されていて。
隣の部屋のテーブルの上だけには、唯一、間違いなく男がいた事を証明するかの様に、並んだペアのマグカップが、寂し気に主張をしていた。
外では、未だに雨が強く降り頻る。
厚い雲に覆われた空からは、この窓に差し込んでくるいつもの日差しもなく、まるで、沙羽の心の内を映し出してる
様で、薄暗く、静まり返っていた。
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