―過去幕末―

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ドッ 『中庭にいる生徒は、速やかに校舎に入りなさい!繰り返す‥』 先生‥遅いって。 普通私のお腹にグサッとナイフが刺されてからしっかり言う? 「いやっいやあああ!!!!誠!!誠ぉお!!」 近くにいるはずの舞ちゃんと優香の声がだんだん遠くに聞こえる。 速く逃げなきゃ二人もこうなるかもしれないのに、足が動かないのか私を助けようとしているのか、ここから離れない。 薄れる意識の中で、私は手に持っていたお弁当箱と新選組の本を落とし、不審者の腕を掴んだ。 「は‥‥やく、はや‥‥逃げ‥‥て!」 私、ある意味すごいのかもしれない。 不審者は私に腕を掴まれ驚いたのか、勢いよく私からナイフを抜きどこかへ走り去っていった。 「誠ぉ‥やだっ‥先生、救急車!!どうしよう!?」 「っ優香、私先生呼んでくる!!」 倒れた私の横で泣きじゃくる優香と、震えながら先生を呼びに行く舞ちゃん。 ふと、吸い込まれるような感覚に囚われた。
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