―過去幕末―

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「‥‥よし。 こいつ、しばらくここの女中として置いておくか」 何かを察したのか、しばらく黙っていた土方歳三が言う。 私はとりあえずは‥殺されないのかな? 「珍しいですね土方さん! もしかして興味持ったとか」 「ちげーよ。 近藤さんの言うとおりこいつは密偵とは思えねぇからな。どんくさそうだし。 だが怪しいことには変わりねぇ」 立ち上がりながら私を見下す。 ‥‥どんくさい? 私がどんくさいって? 頭悪くても運動神経だけはなぜかいいからね! 若干ムッとしながら睨むとぷっと笑い声が聞こえた。 「うわーっ土方さんを睨むなんてすごい娘だなぁ」 「ははは!どうやらとんでもない娘を女中にしてしまったな」 私は二人の言葉でハッとした。 憧れの人を睨むなんて、ありえないから! そう思ったが、遅かった。
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