第一章

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  その日は、いつも通りの日曜日だった。 学校もなく、家の手伝いも終わり、俺と策弥はオッサンからもらったラジカセを肩に乗せ、誰も通らない道へと歩いて行った。 海沿いの道に、二つの影法師が揺れる。 隣で歩く策弥はご機嫌なのか、鼻歌を歌っていた。 「ご機嫌だな。」とちょっと嫌みったらしく言うと、「まぁね。」と返ってきた。 「何たって、今日は快晴。絶好のダンス日よりじゃん!」 ニカッと音が聞こえそうな笑顔を、俺に見せた。 確かに。 本日は、日本晴。 海も穏やかで、海風も潮の匂いを運ぶが、いたって普通。 心地よかった。 ふと眼を閉じて、潮風を全身に浴びた。 ちょっとべたつくが、これがいい。 小さい頃から浴びてきた潮風だった。 ここ、青樹島は俺達のホーム。 人口約50人くらいの小さな島。 ここに、俺と策弥とオッサンが住んでいた。 そう、住んで「いた」。 未成年は、俺と策弥だけ。 俺達の次に若いのは、オッサン、守木章だった。 あとは全員、60過ぎ。 まさしく、高齢者社会だった。 そんな島を、俺と策弥は好きだった。 学校は一応あるが、生徒は俺ら二人。 友達はおじいさんやおばあさんだけ。 だけど、本当に好きだった。  
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