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俺たちは、趣味のダンスをしに、一通りの少ない海沿いの道へと二人で来たのだ。
家から数分後、練習場としている場所についた。
いつも通りの場所にラジカセを置き、馴れた手つきでボタンを押す。
カチッと乾いた音が鳴った。
「拓弥~、今日はどれ踊る?」
腕の筋を伸ばすストレッチをしながら、策弥は口を開いた。
Tシャツに短パン。
そして、ダンス練習用のシューズを履く策弥は、俺の弟。
俺が生まれた10分後にできた弟だ。
同じ顔、同じ背丈。
違う所と言ったら、ダークブラウンのふわふわした猫っ毛と少し低い声。
あと、身につける色とかかな。
紺や黒を好む俺に対して、策弥は赤など派手な色が好きだった。
そのため、身の回りの色も赤を中心にギラギラしている。
「とりあえず、この前教えてもらったやつを踊るか。」
「あ~、あれかぁ。ちょっとおさらいしてからじゃ駄目?サビ入る前のステップがちょっとずれるんだよね。」
「だろうな。」
「何だよ、その言い方!」
策弥はぷぅっと頬を膨らませた。
そんな策弥を見て、俺は肩をすくめる。
「まぁ、おさらいするから、ほら。」
俺はラジカセの一時停止を押した。
そして、策弥の隣に立つ。
誰も通らない道に、同じ長さの影法師が二つ。
カウントを取り、サビ前の部分を策弥と踊る。
隣で舞う策弥は、自分の足元を見て、確認を行っている。
そして、「あ。」と声をあげた。
どうやら、自分のミスに気づいたらしい。
パチンと手の平を合せ、もう一度さっきのところから、と俺にお願いしてきた。
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