第一章

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  最近、地震が頻繁に起こる。 理由は分からない。 けど、本当によく起こる。 幸い、死人は出ないが、津波の被害は度々あった。 地震があったら、海から離れろ。 幼いころから、おっさんに言われて来た。 そして、今も守っている。 先を走る策弥の後を追い、見慣れた、走りなれた坂道を上がり、一軒家へとやってきた。 俺、策弥、そして、おっさんの三人の家だ。 白い壁に、赤い屋根。 色とりどりの花に囲まれた一軒家。 策弥はこの家が大好きだと言っていた。 色合いだろ、と言うと、 「ちげーよ。この家そのものが大好きなんだよ!」 と照れ臭そうに言ってたのを思い出す。 いいや、今、その場合じゃない。 俺は頭を左右に振る。 そして、前を見た。 「拓弥!」 策弥はドアを開け、俺に早く来いとジェスチャーする。 策弥は少しだけ、俺より足が速い。 さっきまで目と鼻の先にいた策弥は、数メートル先にいた。 俺は数秒遅れで玄関先へとたどりつく。 「おっさん、さっきの地震、でかくねー?」 「おっさーん?」 靴を脱ぎ、リビングへと進む。 いくら呼びかけても、おっさんは出てこない。 不思議に思いながらも、リビングの扉を開いた。 「やぁ、おかえり、拓、策。」 「おっさん!」 「って、え?誰、隣の人?」 おっさんに駆け寄ろうとした足がふと止まる。 お客さんと対面するのは、ほとんどない。 いつも、「部屋に戻ってくれないか?」と言われ、俺と策弥は毎回部屋で待機させられるからだ。 けど、今回は違うようだった。  
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