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午後二時。
外の太陽はこれでもかってくらいに辺りを照らす。
外が思いのほか結構眩しかったのを覚えている。
綺麗な青のネクタイをした高松さんのポケットから、ブーと聞いたことのない音が鳴った。
そして、高松さんはそれをポケットから取り出す。
携帯だった。
彼は、携帯を馴れた手つきで操作し、電話に出た。
「もしもし?」
そう答えると、彼は少し俺達から離れていった。
そんな彼の姿を見て、策弥がソワソワし出した。
「どうした?」と声をかけると、
「あれ、携帯だよな?」
「あ~、多分?」
「すっげ~!」
キラキラとした目で、策弥は携帯と呼ばれた黒い物体を見つめていた。
多分としか言いようがない。
何せ、俺たちは携帯を持ったことがない。
島の住民もだ。
唯一持っているのは、おっさんだけ。
けど、おっさんが持っている携帯と形が全く異なっている。
オッサンのは、なんか、折りたたむやつで、高松さんのは、なんか、板っぽかった。
ふと、おっさんに視線を動かす。
そして、パチッと眼が合った。
「どうだ、翔太は。カッコいいだろう?」
「そう言われても、比較対象がいないし・・・。」
「まぁ、そうだったな。」
ヘラヘラと笑い、おっさんは俺達の頭を撫でた。
大きな手が優しく、ゆっくりと動く。
俺たちはおっさんの手が好きだし、撫でられるのも大好きだ。
思わず、笑みがこぼれた。
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