第一章

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  午後二時。 外の太陽はこれでもかってくらいに辺りを照らす。 外が思いのほか結構眩しかったのを覚えている。 綺麗な青のネクタイをした高松さんのポケットから、ブーと聞いたことのない音が鳴った。 そして、高松さんはそれをポケットから取り出す。 携帯だった。 彼は、携帯を馴れた手つきで操作し、電話に出た。 「もしもし?」 そう答えると、彼は少し俺達から離れていった。 そんな彼の姿を見て、策弥がソワソワし出した。 「どうした?」と声をかけると、 「あれ、携帯だよな?」 「あ~、多分?」 「すっげ~!」 キラキラとした目で、策弥は携帯と呼ばれた黒い物体を見つめていた。 多分としか言いようがない。 何せ、俺たちは携帯を持ったことがない。 島の住民もだ。 唯一持っているのは、おっさんだけ。 けど、おっさんが持っている携帯と形が全く異なっている。 オッサンのは、なんか、折りたたむやつで、高松さんのは、なんか、板っぽかった。 ふと、おっさんに視線を動かす。 そして、パチッと眼が合った。 「どうだ、翔太は。カッコいいだろう?」 「そう言われても、比較対象がいないし・・・。」 「まぁ、そうだったな。」 ヘラヘラと笑い、おっさんは俺達の頭を撫でた。 大きな手が優しく、ゆっくりと動く。 俺たちはおっさんの手が好きだし、撫でられるのも大好きだ。 思わず、笑みがこぼれた。  
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