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「俺の台詞じゃない。自分で言え。」
「・・・たくましくなったな、お前。」
「ほらっ!」
ゴツッと鈍い音がリビングに響き渡る。
先程と違い、強く肘でおっさんの腕を叩いた。
高松さん、体は細いのに、意外と力あるんだな・・・。
殴られたおっさんは「痛てて・・・。」と殴られた部分をなぞる。
そして、ゆっくりとまた俺たちを見た。
ゆっくりと息を吸い、そして吐いた。
「お前ら、東京に行かないか?」
おっさんの口から、意外な言葉が漏れた。
東京。
今まで何度も俺達が出した単語だった。
「行ってみたい。」
「どんな場所なの?」
「連れてって!」
どれを言っても、取り合ってくれなかった。
そんな場所に、今度は行ってみないかと言った。
何があったんだ?
そんな疑問を抱える横で、策弥は嬉しそうに言った。
「え?東京!?行ってみたい!!」
「お前ら、日本本土に行ったことないだろ?どうだ、翔太と一緒に行ってみないか?」
「え?高松さん、東京に住んでるの?」
「あぁ、住んでるよ。東京出身東京在住だ。」
「うわっ!まじで?!都会人だ!」
ただでさえ輝いている目なのに、更に輝かせやがって・・・。
策弥はもう、前のことしか見えてないのが分かった。
前のめりになる策弥を戻し、俺はコホンと咳払いをした。
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