第二章

5/48
前へ
/74ページ
次へ
  「何で、急に。」 ピチャリと、若干空気が変わるのを感じた。 ビンゴ。 どうやら、何かしら理由があるっぽいな。 スムーズにいかないことを既に想定していたのか、二人は見合ってまた笑った。 「ほら、拓弥は頭の回転が速いって言っただろ?絶対に聞いてくるって。」 「章の言うとおりだ。そして、策弥くんはとても行動てきだね。」 「だろぉ?」 キャッキャウフフな会話を繰り広げる二人を見て、俺と策弥はアハハと乾いた笑い声を小さくあげた。 てか、何これ。 近所のおばさんみたいな会話みたいだな。 思わず呆れた顔で、二人を見る。 昔見たドラマで、息子自慢をする女性の会話を思い出した。 てか、そうじゃない。 聞きたいことは、聞かないと。 流される。 「何で、急に東京なの?前までは、行くなみたいなこと言ってたじゃん。」 「あっ、そうか。確かに、あんまり日本本土に行ってほしくないって言ってたね。」 俺の言葉に気付いて、策弥ものってくる。 前のめりだった策弥は、今、落ち着いて背もたれに体を預けてる。 乾いた喉を潤すために、用意されたオレンジジュースを一気に飲んだ。 ひんやりとした液体が、勢いよく喉を通りぬける。 「おかわりー。」 そう言って、策弥は席を立った。 本当なら、目の前の瓶に入っているはずだが、今は空っぽ。 策弥は冷蔵庫へ新しい瓶を取りに行った。 バタンと扉が閉まるのを確認し、体を前に向ける。 真剣な顔で。 おそらく策弥が戻って来るのは、三分もない。 その間に、聞き出さないと。  
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4451人が本棚に入れています
本棚に追加