第二章

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  「おっさん、策弥が!」 「あぁ、見てくる!」 まだ揺れるリビングを、おっさんは壁をつたって出る。 高松さんは机の下に潜り込んできた。 黒い携帯らしきものを触っていた。 「くっそ!」 ふとドアの方からおっさんの愚痴が聞こえる。 どうやら、さっきの地震で歪み、ドアが開けづらくなっていた。 ガチャガチャとドアノブを捻るが、引きことも、押すこともままならなかった。 「策!聞こえるか!」 ドンドンと扉を叩き、策弥の安否を確認する。 揺れは徐々に収まりつつあった。 動機が激しい。 耳の奥でドッドッと、脈打つ音が聞こえる。 息も少しずつ荒くなる。 今まで何回も地震があったのに、今回のは、何故か怖かった。 恐怖しかなかった。 落ち着かせようと胸あたりをつかむ。 ゆっくりと呼吸しようと、無理に息を吐いたり吸ったりする。 策弥! 「大丈夫かい?」 息をあげる俺を高松さんは覗き込んだ。 心配そうな顔をする彼を、俺はどういう顔で見たんだろう。 一瞬にして、高松さんの顔が変わった。 「はい、手を貸して。」 差しだされた手に、俺は言われたとおりに手を乗せた。 震えてる。 俺の手、痙攣かってくらいに震えてる。  
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