第二章

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  そんな俺の手を、高松さんはギュウっと握った。 「大丈夫。策弥くんは無事だよ。」 「・・・。」 答えたくても、声が出ない。 過呼吸だった。 「弟思いなんだね、拓弥くんは。顔真っ青にして。大丈夫だから。ほら、聞こえる?」 空いた手で、高松さんは耳にあてた。 聞こえてる?と聞いてるようなジェスチャーだった。 息苦しい中、聴覚に神経をとがらせる。 すると、微かながら、聞こえてきた。 「おっさーん!」 「策!大丈夫か?」 「大丈夫だけど、びっくりして思わずオレンジジュースをこぼしちゃった。」 「窓は!?」 「全滅。結構でかかったね。」 ドアの向こう側から、策弥の声が聞こえてきた。 焦らない、俺より少し低めの声。 徐々に脈も普通に戻り、息も整ってきた。 「すみま、せん。」 ようやく声が出た。 申し訳なさそうに高松さんを見る。 すると、高松さんは優しく俺にほほ笑んだ。 「あぁ、大丈夫だよ。揺れも収まったし、出るか。」 椅子をずらし、体を動かす高松さん。 ゆっくりと繋いでいた手で俺を引っ張った。 「足元に気をつけて。」 「ありがとうございます。」 引っ張り上げられ、俺は机の下から出てきた。 そして、おっさんを見る。  
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