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開かない扉。
向こう側には、策弥。
「おっさん、このドア開かなくね?壊してもいい?」
物騒な発言が、ドアの向こう側から聞こえてきた。
おっさんは苦笑して、「ちょっと待ってろ。」と答えた。
そして、数歩後ろに下がり、「良いぞ。」と答える。
そして、
バッキッ!!!!!
ドアが蹴り飛ばされた。
真ん中あたりから折れた扉は、おっさんの足元に転がった。
綺麗に折れてた。
本当、綺麗だ。
容赦しなかったな、あいつ。
ふとドアがあった辺りをもう一度見る。
そこには、構えていた策弥が立っていた。
「おっさんから教わった空手道が、ここで使えるとは思わなかったよ~。」
あっけらかんに笑顔を見せる策弥。
そんな策弥におっさんは近寄り、抱き寄せた。
「良かった。」
「俺も怖かった~。」
背中に手を回し、策弥はニヘリと笑った。
俺も胸をなでおろす。
良かった。
一瞬でも、死んだと思った。
死の恐怖で一杯だった。
そんなことを俺が思っているなんて、策弥は知らないだろうな、と鼻で笑う。
先程、高松さんに言われた通り、俺は相当ブラコンかもしれない。
「てか、今の地震何?結構大きくない?」
鼻で笑う俺に気付かず、策弥はおっさんに質問した。
「あぁ。津波も今まで以上にでかいぞ。」
「皆、大丈夫かな?」
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