第二章

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  開かない扉。 向こう側には、策弥。 「おっさん、このドア開かなくね?壊してもいい?」 物騒な発言が、ドアの向こう側から聞こえてきた。 おっさんは苦笑して、「ちょっと待ってろ。」と答えた。 そして、数歩後ろに下がり、「良いぞ。」と答える。 そして、 バッキッ!!!!! ドアが蹴り飛ばされた。 真ん中あたりから折れた扉は、おっさんの足元に転がった。 綺麗に折れてた。 本当、綺麗だ。 容赦しなかったな、あいつ。 ふとドアがあった辺りをもう一度見る。 そこには、構えていた策弥が立っていた。 「おっさんから教わった空手道が、ここで使えるとは思わなかったよ~。」 あっけらかんに笑顔を見せる策弥。 そんな策弥におっさんは近寄り、抱き寄せた。 「良かった。」 「俺も怖かった~。」 背中に手を回し、策弥はニヘリと笑った。 俺も胸をなでおろす。 良かった。 一瞬でも、死んだと思った。 死の恐怖で一杯だった。 そんなことを俺が思っているなんて、策弥は知らないだろうな、と鼻で笑う。 先程、高松さんに言われた通り、俺は相当ブラコンかもしれない。 「てか、今の地震何?結構大きくない?」 鼻で笑う俺に気付かず、策弥はおっさんに質問した。 「あぁ。津波も今まで以上にでかいぞ。」 「皆、大丈夫かな?」  
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