第二章

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  皆。 島の住人。 老人と俺達三人しかいないこの島。 全員の安否が不安になった。 「あぁ、大丈夫さ。既に公民館にいろって前々から伝えてる。」 「誰も流されてない?」 「大丈夫さ。」 「良かったぁ~。」 安堵の息を策弥は漏らす。 俺はそんな策弥に近寄った。 「拓弥!」 嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。 そして、ぎゅーっと抱きついた。 「俺、怖かったよ~。」 「俺も。」 「離れ離れになるのかと思ったわ。ほら、見て。」 両腕を俺に見せてきた。 微かに震えているのが分かる。 「それは俺もだよ。さっきまで震えてた。」って答えた。 すると、「やっぱり、双子だな。」と嬉しそうに策弥が返してきた。 「さて。」 高松さんが、時計を確認する。 そして、おっさんを見た。 「時間だ。」 「・・・。」 おっさんは頷き、俺達を見た。 「拓、策。この島は最近地震が頻繁に起こっているだろ?そのため、地震が止むまで東京に行ってほしいんだ。分かるな?」 「・・・・。」 「大丈夫、地震が終わったら、まだ戻ってこればいい。今日は二人が東京行って、明日から少しずつみんなを避難させる予定だ。」 目の前に立つ俺らの肩を、おっさんは強く握った。 おっさんの手も震えてた。  
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