第二章

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  避難のため、東京に行って、地震がある程度収まるまで高松さんの家にいてほしい。 それが、おっさんの願いだった。 一理ある。 俺は頷いた。 策弥も俺が頷くのを見て、それから頷いた。 「「分かった。」」 「よし、そうとなりゃ、準備だな!」 「えっ?今から?」 驚いた表情で策弥はおっさんを見る。 俺も正直驚いた。 地震は収まった。 今しかないと、おっさんは思ったんだろう。 一瞬だけ高松さんを見た。 「善は急げってね。」 そう言うと、高松さんは携帯?を取り出し、部屋を出て行った。 そして、リビングの外で「もしもし」と聞こえきた。 残された俺たちはお互いを見る。 おっさんは真剣だけど、笑顔。 策弥は、東京行きが嬉しいのか楽しそうだった。 窓ガラスの破片が飛び散り、テーブルの上もグチャグチャ。 サンドイッチはタッパーに入っていたため、なんとか無事だった。 本棚は倒れ、本がそこらじゅうに散らばった。 写真立てや壁に掛けてあった時計も落下。 大惨事だった。  
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