第二章

13/48
前へ
/74ページ
次へ
  「やるか。」 ため息をつき、とりあえず大きなカバンを取り出す。 そして、必要と思われるもの全てカバンの中へと突っ込んでいった。 部屋を掃除しつつ、避難準備をするのに、一時間くらいかかった。 見た目より、俺の部屋はひどかった。 多分、策弥もそうだろう。 時々、「あーっ!!!!」と悲鳴が聞こえてきた。 改めて、自分の部屋を見渡す。 変わり果てた部屋に、今度いつ戻ってこれるのだろうか。 ふと不安に思う。 大きなボストンバックとリュックを持ちあげた。 地味に重いことに気付き、思わず顔が歪む。 けど、必要と思うものは全て入れた。 「忘れ物は、多分ない。」 元々物が少ないが、更に俺の部屋は殺伐としていた。 「策弥は終わったのかな?」 リュックを背負い直し、部屋を出る。 再び振り返り、もう一度部屋の中を見る。 十何年と住んできたこの部屋に、戻る事はできるのか。 この形式を目に焼き付けておこう。 ゆっくりと部屋を見渡す。 そして、一呼吸し、部屋を出た。 さよなら。 心の中でそうつぶやいた。  
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4450人が本棚に入れています
本棚に追加