第二章

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「お、終わった?」 部屋を出ると、策弥が待っていた。 策弥もボストンバックとリュックサックを持っていた。 「どう?部屋の感じは?」 「最悪。今まで以上にひどかったよ。」 「こっちもだ。」 どうやら、策弥の部屋も悲惨だったらしい。 ちょっと覗き込むと、俺と同じ状態だった。 CDも漫画も雑誌も、全て床の上だった。 「おかげさまで、全然準備が進まない。」 隣に立つ策弥は肩をすくめる。 「こっちも。」 「まぁ、もともと物は少ないし、この二つで収まったことは良い事かな?って思ってる。」 そう言って、二つのカバンを持ちあげ、俺に見せた。 同じボストンバック。 おっさんが俺達にくれた物だ。 俺は青、策弥のは赤だった。 「・・・行くか?」 何故か歩かない足。 二人で呆然と廊下で立っていた。 そんな状況を打破するために、俺は口を開く。 「・・・。」 策弥は無言で頷いた。 少しの間と行っても、やっぱり寂しいもの。 策弥は名残惜しそうに、自分の部屋を見て、そして、俺を見た。 ギュウっとボストンバックの肩ひもを握った。
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