第二章

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あれ、この人って・・・。 思わず高松さんを見る。 すると、高松さんは俺が言いたいことに気付き、照れ臭そうに笑った。 「そう、これ、俺なんだ。」 そう言って、一人の男性に指をさす。 「ここは、学校ですか?」 「そう、学校だよ。」 「こんなに人がいるんですね。」 俺はそう言って、リュックに写真立てをしまった。 割れないように、そーっとしまった。 「興味ある?」 「多少は。」 島に学校はあるけど、俺と策弥のみ。 写真には、多くの学生が後ろに写っていた。 こんなに多くの人と囲まれ、おっさんは育ってきたんだな。 なんか、うらやましいなと思う俺がいた。 ジッとチャックをしめ、策弥を見る。 策弥は楽しそうにおっさんと話していた。 「さて、そろそろ行くか。」 おっさんが俺達に気付き、ニカッと笑う。 手招きし、俺たちはおっさんに近づいた。 さっきまで床は窓ガラスの破片できらきらしていたが、片付けられ、安心して歩いた。 多分、俺達が準備している時に、おっさんと高松さんとで掃除したんだろうなと思いながら。 ちょっと重くなったリュックを背負い直した。
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