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おっさんから名残惜しそうに離れた俺たちは、もらったネックレスを首にかけた。
最高のプレゼントだった。
「よし、行くか。皆も待ってるし。」
「皆?」
「そう、おじいちゃんやおばあちゃん。お見送りがしたんだと。」
「へぇ!俺も皆に会いたいわ!」
横一列で玄関に向かった。
右から俺、おっさん、策弥の順だ。
高松さんは、その一歩後ろを歩いていた。
玄関も、物が倒れて悲惨な状態だった。
俺と策弥は幾つかの靴をカバンにしまい、そしてスニーカーを履く。
つま先で地面をつつき、振り返った。
窓ガラスは全部破壊された俺たちの家。
けど、やっぱり俺達の家。
赤い屋根なのは、かっこいいから。
そんなおっさんの言葉を思い出しながら、俺はゆっくりと我が家を見つめる。
「今度、いつ戻ってこれるだろうね?」
靴を履き終わった策弥は玄関を飛び出し、そして俺の横に並ぶ。
俺はボストンバックの肩ひもを握った。
「さぁ?けど、戻ってこれるよ。」
「だよね!」
そう言うと、策弥は海の方を見た。
「うっし!元気でたー!皆に会いに行こう!」
「元気でたって、お前、元気なかったのかよ。」
「んにゃ、あったけど。更にでたってこと。」
「何だよ、それ。」
俺はぷっと吹き出し、空を仰ぐ。
そして、ふーっと息を吐いた。
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