第二章

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数十秒遅れで大人二人がやってくる。 そして、四人で皆がまつ公民館へと足を運んだ。 ここから公民館まで約10分。 その間、高松さんから東京の話を沢山聞いた。 ビルのこと、車のこと、マックのこと。 何から何まで、俺達には新鮮だった。 特に、マックには策弥が食い付いた。 そんな俺達を見て、大人二人はクスクスと笑う。 「東京が楽しみだ。」と策弥は言う。 四つの影が、じゃり道にうつる。 左右の色とりどりの花は、地震があったにも関わらず、美しかった。 幾つかの木は倒れ、道を妨害するものもあった。 俺たちはそれをまたぎ、そして歩く。 歩きなれた道が、全く違う道に見えた。 ただ、公民館へと続く道なのに、得体のしれないものに感じた。 この先、どこに向かうのかも分からないくらいに。 津波の被害が道からでも確認できる。 道の上で、魚が数匹死んでいた。 どこか、しっくりこなかった。 嫌な予感。 それしかなかった。 しかし、それは表に出さずに、ただ話を聞き、策弥の言葉に相槌をうち、公民館へと向かった。 「おおおぉぉぉ!!!?」 公民館に着くと、策弥が声をあげた。 俺も声は出なかったが、正直驚いた。 島の皆が笑顔で俺達を迎え入れた。 昨日まで腰が痛いとか言っていた田浦さんも、元気良く腕を振るくらいだった。
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