第二章

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「うわぁ、皆、どうしたの?外に出てきて・・・。まだ、津波くるかもしれないだよ?」 優しい口調で策弥が声をかえる。 島の皆は嬉しそうにそれぞれ各々声をあげた。 「そりゃ、策弥と拓弥が日本に戻ると聞いてな。」 「さよなら言いたくて出てきたんじゃよ。」 「まぁ、こんないい男をほっとくわけないでしょ。」 「二人を見送ってから寝おうと思ってな。」 「元気でな!」 皆が俺達を囲む。 こういうとき、身長はそこそこあって良かったと思う。 一番後ろの人とも目が合い、俺はニコッと笑った。 「あぁ、そうじゃ。これ、プレゼントじゃ!」 日比野さんが何やら段ボールを持ってきた。 いや、持ってきたというより、台車に乗せて運んできたと言った方がいいかもしれない。 とりあえず、段ボール三つ持ってきた。 そして、それを俺達の前で止めた。 「プレゼントじゃ!」 「贈り物じゃ!」 「大切にしてーな!」 「皆、頑張って作ったからな!」 「ありがとう!」 策弥は笑顔で答えると、段ボールを撫でた。 段ボール三つ。 重そうだな・・・。 すると、また島の皆が俺達に密着する。 そして、愛おしそうに俺たちを撫でた。 子どもは俺達だけ。 そして、皆俺達を息子、孫同然のように接してくれた。 俺たちは皆の子どもとして、この島で育ったのである。
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